
日清は、ESGを推進する結果、マーケティングと購入者の健康維持を推進しています。
日清食品は、自社のESGやSDGs等の取組を、HPに取りまとめ、定期的に更新をしています。日清食品は、ブランド総合研究所が公表する「企業版SDGs調査2021」において、「SDGsの取り組みの評価が高い企業ランキング」の4位となっており、ESGやSDGs等の取り組みが活発となっています。今回は、日清食品の「VALUE REPORT (統合報告書)」や「サステナビリティ報告書」を見て、どのような具体的な取り組みが行われているか確認します。

ESGはできることから、ひとつずつ対応している
日清食品のESGは、出来ることから対応をしています。例えば、「カップヌードル」のフタは、従来「タブ」が1つだったところ、2つにして、代わりにフタ止めシールを廃止しています。これによりプラスチックの消費量が減ります。また、カップに「紙」や「バイオマスプラスチック」を採用することで、環境負荷を低減させています。また「不良品発生率」の改善をすることで、製造効率を高める目標とともに、無駄な食材の廃棄率を下げることを進めており、結果ESGの推進につながっています。
日清食品のプロダクトは、コモディティ商品のため、1つ1つの商品の改善をすることで、大きな改善につなげることが可能です。
日清は、完全栄養食での健康推進を考えている
サステナビリティ報告書2021を見ると「おいしい完全栄養食で、日本を未病対策先進国へ」というキャッチフレーズを付け、健康推進を考えていることが見て取れます。このコンセプトは、通常の生活では「とんかつ」等を好きなだけ食べてしまうと、「脂質」に偏ってしまいます。しかし、日清は、「脂質を減らしても、おいしくとんかつが食べられる」といった工夫を日清がすることを考えていることを紹介しています。結果、完全栄養食として、「シニアマーケット」等での事業展開を考えています。
日清はマーケティング上、特色のある味を必要とするジレンマ
日清は、マーケティングの都合上、特色のある味を作らなければならない。例えば、「辛い」ということで「辛麺」をつくったり、「こってり」ということで「行列のできる店のラーメン こってり」をつくったりしなければなりません。「極端にからい」や「背油を多量に利用」などで、その面だけを取ると健康促進にはつながりません。これは、マーケティングの観点上、「話題性」や「体感」等、通常の食事では味わえない感触を提供しなければならないからです(すべての商品が特色を持つ必要がなく、特色のある商品で注目を受け、定番商品に訴求していくということです。)。
これらの具体的な対策として「減塩してもおいしさを保つ技術 ソルトオフ製法」を導入しており、世界の170の塩を比べてたどり着いた減塩に最適な素材を使用しています。これは、塩は「塩化ナトリウム」が主原料であるが、他のミネラル(カルシウムやマグネシウム)やスパイスも含まれて、独特の味を作っています。これらで人間の体感で、「塩味」を感じつつ、塩化ナトリウムの量を減らすことが出来れば、味を維持しながら、塩化ナトリウムの過剰摂取を防ぐことが出来ます。
また、「油分をカットしてもおいしさを保つ技術 ミストエアードライ製法」を導入しており、麺を油で揚げずに、必要最小限の植物油を麺の表面にミストシャワーし、熱風乾燥させることで、味や保存の安全性を確保しながら、油分をカットすることが出来ます。
「カロリーをカットしてもおいしさを保つ技術 オリジナル三層麺製法」を導入しており、麺の中心層の一部に小麦粉の代わりとして食物繊維を使用することで、同じ満腹度においても、カロリーの過剰摂取を防ぐことが出来ます。
その他、「栄養ホールドプレス製法」として麺の外側を小麦ベースの層で包み込み、中心の栄養素を閉じ込めながらえぐみや苦みをマスキングする製法で、味を維持しながら栄養を保つ技術を導入しています。
どうしても人間は「こだわりのあるもの」を食べがちです。「大好きなカレーライスばかり食べる」や「ハンバーガーだけ食べてしまう」等があります。どうしても好きな味や食生活があり、「バランスの取れた食生活」は、頭で考えながらでないと難しいです(そうでない方もいらっしゃいますが、頭でわかっていても、習慣をやめられないので偏った食べ方をしてしまうということはあり得ます)。この場合において「バランスの取れたカレーライスやハンバーガー」があれば、過剰摂取を防ぐことが出来、食品供給側は、安心して商品を供給が出来、食品購入側は、健康を維持することが出来ます。
この論点の面白い所は、「マーケティングの負の側面を対応するとESGにつながっている」ということです。どうしても売れればよいということを考えて、「特色のある味」を作るのはよいのですが、結果として購入側の不健康につながっては、継続的な購買行動につながらないため、負荷の側面を対応することで、マーケティングの問題を解決できるだけでなく、ESGの推進にもつながっているので、それらの活動を推進する動機が大きくなり、結果として、ESGの推進の動機が大きくなります。
このように、経営問題の解決とESGの推進が関連しあっていて非常に面白いといえます。



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