
森トラスト総合リートは、GRESBの取得を積極的に行っています
森トラスト総合リートの2022/3決算を2022/5/23に公表しました。当該リートは、16物件を保有し、3,247億円の資産規模となっております。エリア別にみると、東京都心に80.2%の物件を保有し、71.2%がオフィスビルとなっています。またリートという特性上、ESGにも力を入れています。
本ブログでは、公表された2022/3決算の内容から、当該リートについて見ていきます。
分配金は前期を下回り、今後も分配金は低下傾向
2022/3の営業収益は、8,528百万円でした。これに対して営業費用が3,486百万円となり、営業利益が5,042百万円となり、当期純利益は4,537百万円となり、一口当たり分配金は3,195円となりました。しかし当期は、汐留の物件の売却益があり、一口当たり分配金利益を1,100円押し上げている効果があり、一時的要因も含まれています。来期においても汐留ビル売却益の充当が予定されており、急激な分配金の低下は防げています。
オフィスマーケットは、空室率上昇とCAPの低下で不動産価値は横ばい
公表された2022/3決算を見ると、Aクラスビルの利回り(⼀般財団法⼈⽇本不動産研究所「不動産投資家調査」)が掲載されているが、それによれば、CAPは低下していることがわかる。また、当該投資法人の稼働率が低下していることから、当該投資法人の価値(不動産マーケットプライス)は、横ばいであることが推測される(前期の鑑定価格が341十億円に対し、当期の鑑定価格が345十億円とほぼ横ばいとなっている。)。
よって投資の観点からすると、「稼働が悪化又は減額改定により配当が減る」というマイナスの考えと「マーケットが過熱して不動産価値が上がる」というプラスの考えが、どちらが優勢になるかを判断して投資する必要がある。
ESGは、GRESBの取得を中心に進めていることがわかる
当該リートのESGの項目を見ると、GRESBの取得を中心にESGを推進していることが見て取れる。GRESBとは、海外発祥の不動産の環境基準の外部評価基準です。GRESBは、海外でも取得されていることから、リートのような海外投資家にも販売される物件においては、マーケティング上非常に有効な基準となっており、多くのリートが導入をしています。具体的には、組織の項目と、物件(ポートフォリオ)の項目があり、評価項目が多岐にわたります。これらの評価項目への対応をすることで、結果、ESGやSDGsへの対応が進むという状況になります。
では具体的にどのようなことを考えているかというのを見ると、「サスティナビリティ方針」を定めており、「温室効果ガス排出削減」や「循環型社会の貢献(リサイクル等)」を中心に対応していることがわかります。具体的には、「LEDの導入」や「コミュニティサイクルの導入」等を進めることで、これらに対応していることがうかがえます。
特に「コミュニティサイクルの導入」等は、オフィスには非常に求められています。コミュニティサイクルは、「利用者が利用したいと思ったときに、そばにある」というのが非常に大切です。しかし、公共事業ではないので「道路」に置くことが出来ず、また「空き地」等に導入すると利便性が悪いため、「オフィスの敷地の中」というのが非常に重要です。しかしながら「オフィスの敷地の中」であると、建築基準法の避難通路になっている場合は、設置が出来ません(同様に消防計画上、消防車の通る場所にはおけません)。また設置をすることで、「不特定多数の外部の人間が敷地に入る」リスクが増大するため、管理コストの増加につながります。このように、「導入する建物管理側にとってはデメリット」というのが多い面もありますが、「環境にやさしい」や「利用者の社会的価値」を鑑みると、設置した方がよいものであります。このような活動が、結果として「利便性向上による稼働の回復」等につながる可能性があります。結果としてESG活動が、マーケティング上、有効なうち手となっている例といえます。



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